遥は、心地良い眠りから
覚めて驚いた…

有森の胸に抱かれている
自分……

「あ…私…」

「ん…?」

「…あの…えっと…」

「遥さん、おはよう」

「お、おはよ…」

まるで何事もなかった

みたいに 有森はニッコリ
笑った。

「夕べは…」

「あ、大変!早く仕事に
行かないと遅刻だよ」

有森は、立ち上がる寸前
に少しだけ力を入れ

遥をギュッっと抱きしめ

てから身体を離した。

「もう、こんなチャンス
二度と無いはずだから」

悪戯っぽい顔で笑った。
遥は、ドキドキを隠し

仕事に行く準備を始めた

それにしても 有森って
不思議な人…夕べは、

弟がホントに降りて来て
有森の中で喋っていたの
かも知れない。だって…

あの事故の事、あんな事
は、私と弟以外に知って
居るはずがない…有森に
御礼もしたかったが それ
以上に確かめたかった。
昨日と同じ服を気にしな
がら有森と電車に駆け込
む…