「…ごめんね…私が死ん
でしまえばよかったのに

…」

「そんな事ないよ。ね
ぇちゃんの事、僕は、怨

んでなんかないし、今で

もずっとねぇちゃんが

大好きだよ。」

「何で、優は、私を怨ま
ないの!私は貴方が必死

で助けを求めてるのに、

手を離したのよ!自分だ

け助かってしまって…だ

から、みんな…パパもマ

マも私が憎いのよ。軽蔑

してるのよ!」

「ねぇちゃん、あの時の
事 忘れてるね。

おねぇちゃんも 僕と同じ
様に溺れてしまったんだ

よ。だから おねぇちゃん
は、気を失っただけ。僕

を見捨てたんじゃない。

思い出してよ。肝心な所

なんだよ。」

「…優、ホントなの?」
「ホントだよ、ねぇちゃ
ん。ゆっくり目を閉じて

…思い出してみて」

「…優…」

遥は涙でグショ濡れの目

を閉じた。

「…ゆっくり呼吸してみ
て…」

「ダメよ…怖い…」

「大丈夫…ほら、僕の呼
吸に合わせて」

「優…」

優になった有森が

優しく遥を抱きしめた。
呼吸の音、そして心臓の
鼓動が聞こえる。

遥は、有森の胸に埋もれ
る様に抱かれていた。

「…ほら、見える?」

「確かに私は気を失って
る…」

「それに、ねぇちゃん、
パパもママもねぇちゃん

がキライとか軽蔑してた

んじゃないんだよ。これ

以上、ねぇちゃんを傷つ

けないために考え過ぎて

しまって、どう接してい

いのか解らなかっただけ

なんだよ。パパもママも

ねぇちゃんを愛している

よ。たまには、帰ってや

らなきゃだめだよ。僕の

分まで親孝行してあげて

欲しいんだ」