私は点滴のおかげか、

だいぶ具合がよくなってい

るのだろう。

だってそんな

ばかみたいな事

を考えられる様になって

いるんだから。

私は 有森に送ってもら

う車中で何だか ちょっと

嬉しかった。

「南野さん、明日は、無

理しないで休んだらどう

かな? 来週からの僕ら

の仕事手伝ってもらうん

だから それまでにちゃん

と治して欲しいし。」

「私もう大丈夫よ。」

「無理しない方がいいよ

。僕は、南野さんと仕事

するの楽しみにしている

んだから。」

え…やだ…それって、

有森君は、私の事…?

そう言えば 私、こんな

感じの気持ちってなかっ

たな。いつもコンパの

相手は、見栄や体裁ばか

りだったし、私も相手に

馬鹿にされないように 無

理ばかりしていた。

有森は、無理なんてしな

くていい存在だった。

「南野さん?」

「あ、え?何?」

「この道、真っ直ぐでい

いんですか?」

「あ、信号を左折で

す。」