ユカリがお金を受け取る為に必要な

おれの体液が入った『それ』を

ユカリは上手い具合に上を縛り、持ってきた袋に『それ』を入れた。

わかっていたけど…
それを見ていて何故か悲しく思った。

…悲しい?

悔しい気もする…


彼女の為に放出した体液は
確かにその瞬間、彼女を愛した証だったと思うからだ。


おかしな話しだよな

一度、肌を合わせただけで…こんな気持ちになるなんて。

「陸…気持ちよかった?」

「うん…ありがとう」

「よかった。あたしも…気持ちよかったよ?」

そう言うと彼女はおれにキスした。

おれはユカリを抱きしめて…長いキスをした。


悲しい

悲しい

悲しい…

『陸』として誰かを愛して…愛される事は一生ないかもしれない


すべてを承知の上で罪を犯したのに

誰かの肌に触れて
こんな気持ちになるなんて…!
バカみたいだ!


彼女とは二度と会えないだろうというのはわかっていた。

新しい人生を生きる男は…家庭教師と関係を持ったが

それは一度だけだったからだ。

誰かと長く付き合う事なんてあり得ないんだ。


そしておれはユカリと別れた。


次の記憶に進む為に…