キミの螺旋

いつも薬を飲んだ後…気付いたら眠っていたって事が多かった。

おかしい…

そう思って、ある時あたしはハルトが出した薬を…半分しか飲まなかった。

それでもやっぱり眠くなって…夢の中に落ちていく…。






『ハルト!会いたかった!』


女の声…?
暗闇の中、そんな言葉が聞こえてきて
あたしの意識はボンヤリながらも戻ってきた。

…身体は動かない…

…薬のせいなのかな?

…ここ…ドコ?

自分がドコにいるのかわからずに…あたりの様子を探った。

やがてそこがクローゼットの中だという事に気付いた。

寝室の隣のウォークインクローゼット。人が一人なんとか寝られるくらいのスペースに

あたしは寝かされていた。

どうしてなのかわからない…

だけどすぐに理由はわかった。


『静かにしろよ』

『なんで?』

『意外と壁が薄いんだよ』


ハルトと…誰かいるみたい…

だからあたしを隠したの?
薬を飲ませてまで…

もしかして今までも誰か来る時は、あたしを眠らせて隠していた?

…信じられない…

でも
まだ薬のせいで身体も動かないし声も出せないし…

かろうじて意識を保つのが精一杯だった。