キミの螺旋

それからのオレの生活といえば

とりあえず勉強の毎日だった。

まず大検受けなきゃいけないし。
大学に行く事…それ以外にする事なんかなかったからな。

ほぼ引きこもりの受験生の生活。


そして春──
オレは晴れて志望校へと入学できた。

ここからが'藤紀'としての出発点のような気がした。

『北川藤紀』にふさわしい…それ相応の友人関係を作ること。

もうすぐ20歳。成人するんだし、藤紀の社会的地位を作り上げていかないといけない。

慎重に
細心の注意を払って

幸い、北川の実家はここから遠く
従来の知人に会う事もないだろう。

それに…オレが殺人を犯した場所からもかなり離れていたし。

その辺の事はオレよりも親父の方がわかっていたはずだ。
だから住む場所も(この大学に受かる事を前提に)この場所にしたようだしな。


そして『友人を作る計画』はオレの思惑通りに進み

夏になる頃には友人の中の数人に『お坊っちゃん』がいた。


オレみたいな庶民のさらに下の育ちみたいなヤツとは物の考え方が違う。

ハッキリ言って
気が合わねぇ…

話も合わねぇ

『育ちが違う』ってこういう事なんだなって思い、たまに悲しくなった。