キミの螺旋

「藤紀…大きくなったんじゃない?」

「少しね」

…おれは他人

「最近会いに来ないわねってお父さんとも言ってたのよ」

「そう?ごめんね」

…親父はずっと来ていないハズだ。

「もう中学生だものね?勉強してる?」

「してるよ。母さん部屋に戻ろうか?」

「そうね」

オレは母親を部屋へと連れて行った。

母親の中では
'藤紀'は中学生のままで時間が止まってる…

壊れた時計みたいに
電池の切れかかった時計みたいに

動いては止まり
動いては戻り
一分も進まないでいる母親がそこにはいた。

母親は大きな個室で暮らしていた。
金があるせいなのか…父親が見舞いにこない分…この病棟で一番広い個室を使っていた。

部屋に入ると母親は
オレを後ろから抱きしめた。

「藤紀…藤紀は母さんのもの…そうよね?」

そう言いながら下半身を触ってきた。


あの藤紀の記憶で見た母親の『女の顔』

藤紀が嫌悪感を抱いた母親の行動…


─親父…オレに母親もどうにかしろと?

血の繋がっていないオレだから出来る事…この女の面倒も見ろって?

バカだよな…オレも



そう思いながら…母親の望むまま


オレは母親を抱いた…