きっと美瑚はあたしにどちらかを選ばずに苦しむんじゃなくて、どちらも選んで幸せになっていいんだとあたしに伝えたかったんだと思う。



話せるのなら巧にほんとのことを話したい。



でも仮に話したとしても受け止めてもらえるのかが怖いんだ。



あの明るい巧なら受け止めてくれるかもしれない。



でも……



「…話して距離を置かれたら……辛いよね…っ」



視界が歪んで鈴が見えなくなる。
溢れた感情が流れ落ちないように雲一つない大空を見上げた。



「まー!まー!」


「鈴?どうしたの?」



涙が止まったタイミングですぐ傍から鈴の声が聞こえた。



下を見ると滑り台からいつの間にか鈴があたしの足元にいて、服の裾を強く引っ張っていた。



「まー!つぎ!ブランコのりたい!」


「あ、はいよ!ママが押してあげるね」


「やった!」



ふと今日鈴と遊ぶ約束をしていた美瑚のことを思い出す。



鈴は美瑚と一緒にブランコに乗るって楽しみにしてるのに遅いな。
もしかして寝坊してるんじゃ……



「……あ!みーこ!」


「……え?美瑚?」



鈴は視線をあたしの背後に移してやっと来た美瑚の名前を呼んだ。



鈴の視線を先を追って振り返るとそこには鈴に手を振る美瑚がいた。



その美瑚の隣には目を丸くしてこっちを見る巧が立っていた。