七笑が走っていった方を見ると私の家の前には恵司さんといつものようにスーパーの袋を持った旭がいた。



初めて見る光景に頭の中ははてなマークでいっぱいだ。



「…美瑚、おかえり」


「……うん」



いつもの笑みで旭は私を出迎えてくれた。



それにつられてついいつものように返事をしてしまったけど、私が言いたいことは別にある。



旭に聞こうと口を開くと七笑と同じような笑顔を浮かべた恵司さんが旭の肩を抱いて近寄ってきた。



「いやな?今日旭と飲みにいこうとしたら幼なじみの家に夕飯食いにいくっていうからついてきたら、それがまさか美瑚ちゃんの家だったとはな!

こいつと俺は同じ会社で働く同期なんだよ、な!旭!」


「おい、暑いからそんなくっつくなよ……!
美瑚、ごめん。もう一人増えてもいいかな?」


「…それは……いいけど」



まさか恵司さんが旭の会社の同期だったとは。



世間はほんとに狭い。



ふと視線を感じて恵司さんを見上げると恵司さんに上から下まで怪しい笑みを浮かべながら見られた。



「…な、なんですか……っ」


「ん?いや、美瑚ちゃんだったとはなーって思ってさ」


「ほ、ほら恵司いくぞ……っ!」



恵司さんの言葉にいきなり旭は慌てて恵司さんを引っ張って家に入っていった。