じっと彼を見ていたらふいに目が合ってしまった。
「…ど……」
「あ、噂の早坂!」
とりあえず挨拶をしようと口を開いたら先に言われてしまった。
…てか噂のって?
理解できずについ首を横に傾げる。
「あれ知らね?男子には美人だって密かに人気あるのに誰も寄せ付けない高嶺の花だって一年の時から噂になってんだけど?」
いや、そんなの知るわけない。
誰とも関わらずに今までの高校生活を過ごしてきたんだから、そんな噂だって興味がない。
というか誰、そんなくだらない噂流したの。
「あ、そういや初めましてだよな!
オレは広瀬 巧。亜沙美とは小中と一緒の要は幼なじみってやつで…」
「ちょっ…!そんな細かく言わなくていいから!」
自販機で飲み物を買っていた亜沙美が止めに入る。
それに広瀬くんはさっきのメロンソーダを買ったときの表情とは違い、不満そうな表情を浮かべた。
亜沙美に幼なじみがいたんだ。
確かに七笑とかより砕けた感じがする。
いつもは七笑たちを見守るお母さんって感じが強いけど、広瀬くんと話してる亜沙美はなんだか普通の女子高生って感じがする。


