亜沙美に抱きついて泣いてる唐木田さんを見てると顔を上げた亜沙美と目が合った。



「にしても自炊してるなんてすごいじゃない!美瑚は一人暮らししてるの?」


「…え、あ、まぁ……」



一人暮らし。
それとはまた違う意味での一人暮らしだけど、こんなまだ知り合って間もない人に私の事情を知られたくなくて曖昧な返事をしてしまう。



できればこれ以上は踏み込んでこないでという意味ということを、この返事で気づいてほしい。



それなのに。



「え?みーこ一人暮らしなの?だってみーこ、普通の一軒家に住んでるよね?」



彼女は平気で私の中に土足で踏み込んでくる。



「え、なに?七笑、ストーカーしてんの?
美瑚の家の構造まで知ってるとか……引くわー」


「い、いやね!?
仲良くなるためにはまずその子のことを知ろうってなるじゃん!?」


「だからってストーカーすんのはどうなの?引くわー…」


「わ、二回言われたよ!?あーちゃーん……っ」


「七笑、こればかりはあたしも引くわ」


「うそー!」



彼女たちの会話なんて頭の中に入ってこなかった。



何より私の中に土足で踏み込まれたことが信じられなかった。