心音は迷うことなく雑貨屋に入ってエプロンと鍋つかみを買った。



すでにあいつに何がほしいか聞いてあったみたいで。



それってもうプレゼントって言わないよね?



「いいの!プレゼントが喜んでもらえないより、欲しいものをプレゼントした方が100%喜んでくれるでしょ!」



いつもの明るい笑顔を浮かべてそう言われればなにも言い返せなくなってしまう。



信号待ちをしていてふと手に持っているプレゼントを見つめる。



あーしがエプロン、心音が鍋つかみをプレゼントすることになったけど。



「……ほんとに喜んでくれるの」



いくら欲しいものをプレゼントされたとしても渡すのはあーし。



嫌いな人から渡されるといくら欲しかったものでも嬉しくなくなるはず。



「……てい!」


「ちょ、危ないでしょ……っ!?」



いきなり心音に膝カックンをされて危うく道路に飛び出すところだった。



「大丈夫!だってお母さんだよ?お母さんはね、娘のことを何よりも誰よりも愛してるんだよ!血が繋がってないとしても!」



不思議だった。



心音がそう言えばほんとにその通りな気がして、その笑顔を見るとほんとに信じられる気がした。



これを機にあの人とも向き合えるといいな、なんて柄にもないことを思うと信号は青になった。