【side 乃々葉】
あーしの父親の家は代々続く財閥らしく、生活に不自由なかった。
でもお母さんは普通の家庭で育った、父親からすると庶民で生活にはどちらかといえば苦労していたと思う。
お母さんはこの家で使用人の仕事をして、そこで父親と出会ってあーしを授かった。
でもこの身分の違いから父親の両親からは猛反対されてお母さんは玉山家から追い出された。
「乃々葉、お父さんに幸せにしてもらうのよ?」
そう言いながら去っていったお母さんの顔は今でも忘れられない。
それから父親はもとから婚約していた女と結婚し、女の子が産まれた。
最悪でしょ?元々婚約者がいるのにお母さんと関係をもっていたんだから。
こんなことがあったからあーしは父親が嫌いだったし、結婚した女も自分の子供じゃないあーしのことが嫌いでいつも冷たかった。
もちろんあーしもあんな女を母親だなんて思えなかった。
それでもこんな家庭で生活できたのは彼女がいたから。


