「…別に。
言いたくないことの一つや二つ、誰にだってあるでしょ?」
私だって母親と親友のことを誰にも話したくなかった。
このことは誰にも言わずに墓場まで持ってくつもりでいたし。
誰かが叫ばせて思いを出させようとしなければきっとそうなってた。
でも話したことで分かったこともある。
「…抱えていたことを話したら、今まで感じてなかったけど背負ってた重荷が軽くなった気がしたの」
一人で抱えていたことが重荷になってるとは思ってなかったけど、重荷を言葉に吐き出したことで体が軽くなった。
それによって分かったんだ。
私はずっと重荷を背負っていたんだと。
それが分かったら言いたいことをため込まずに吐き出そうと思うようになったんだ。
流れていた水を止めると、乃々葉は拭き途中だったお皿を拭いて私が持っていたお皿も手早く拭いた。
布巾で手を拭くと私に背中を向けた。
「……あんたたちには話すよ………あーしのこと」


