サムライ君とメガネちゃん

「いや、ここまで来たんや

もうちょっと、進んでみよか」

ミハルちゃんは大股でエントランスホール

を抜け、奥の部屋に近づいた

「ミ、ミハルちゃん、あかんて!」

他人の家に、そんな…」

私が必死で警告するのも聞かず、彼女はド

ア前にたどり着き、ノブをガッシとつかみ

そして、回した

またしても、悪魔の断末魔のような音を立

てて、ドアが開いた

「ごめん、くださあい」

控えめに声をかける

静寂

……では、ない

低い、うなり声が…

いや、何か、発電機の音のような

部屋の中から聞こえてくる

おっかなびっくり、私たちは奥に進む

部屋のなかは暗いが、漆黒の闇ではない

眼を、凝らすと…