サムライ君とメガネちゃん

彼は起きそうもない

私の首も、必然的に傾く

首が傾いたまま、身動きできない

どうしよう?いや、どうしようもできない

向かい側の座席を見る。上品そうなおばあ

さんが私たちを見て、にこにこしている

首がどんどん傾き、痛みさえ伴ってきた私

は、おばあさんに「エヘヘ」と愛想笑いを

返す

やがて地下鉄は大ターミナル駅に到着

降りなきゃ…テツ君の頭を「よいしょ」と持

ち上げ

「テツ君、テツ君!降りるよ!」

と耳元で怒鳴り、彼を起こす

「む、『すていしょん』に着いたか

拙者、寝ておったようだな」

日曜日の雑踏の中、私たちは並んで歩く

私の首は傾いたまま

「りおかどの、いかがした

首を傾けたまま…?」