サムライ君とメガネちゃん

「……どの」

テツくんの小さな声に、私は妄想、いや想

像を中断する

テツくんが、何かうわごとを言っている

私は彼の顔に近づく

「…どの……りおか…どの…」

えっ、私の名前?

彼は私の名前を呼んだ

起きて、いるの?

「テツ、くん?」

私は小声で聞いてみる

「りおか、どの、…おか…どの」

彼は私の名前を連呼する

私は、思わず手を伸ばし…彼の左手に触れて

みる

あたたかい…

すこし、ゴツゴツした、武骨な手…

お父さん以外、男の人の手に触れるのは、

初めて

ドキドキして…でも

ほっと、する