「キャ~♪しのはらっち~!!」

小さい塊が二つ、突進してくる。
ズシッとくる確かな重みに戸惑いと安心を感じる。

「こら、篠原っちが壊れちゃうわよ!
お行儀良くお出迎えしないと、遊んでもらえないからね。」

「お姉ちゃん、壊れるって何よそれ。
慎さんは物じゃないんだから。」

「お帰り、ひとみ。あ、いらっしゃいかな?」

「ただいま。」

「お邪魔します。」

こどもの日、二人で彼女の実家に来ていた。
彼女の姉と、その子供二人が熱烈な出迎えをしてくれたのだ。

背の高い俺はチビッ子達の格好の遊び相手らしく、体を張って相手をさせられる。

彼女の姉が『篠原っち』と呼び始め、子供達にもそれが定着していた。

彼女は恐縮してゴメン、と言ってくれるが、俺は家族として認められたようで嬉しかった。

「ほら、ケーキ作ってきたよ。
食べたい人は手を洗って来て~!」

「たべる~♪」

にぎやかで暖かい空間だった。