君にしかないもの


「ね、よくみたら、
あれ花森学園の制服じゃない??」

「ほんとだ。」

莉亜に言われて気がついた。
胸ポケの校章のワッペンが青だからあれは2年生だ。
ちなみに私達は緑なんだ。


あんなイケメンいるんじゃきっと大騒ぎだろうな。この時はまだこれだけしか思わなかった。


「梨央、
おばあちゃん達に席変わってあげよう。」


小声で莉亜が言ってきた。
途中で乗ってこられたご老人の夫婦だ。


「うん。おばあちゃん達、ここどうぞ。」


「あらぁ、すまんねぇ。ありがとうよ。」


「全然ですよ!次で降りますし。」


まさかこんな所を見られているなんて思ってもみなかったんだけど。