君にしかないもの


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!!」


家に着くと、私が最初に見た泣き顔ではなくて、満面の笑みで男の子がお礼を言ってくれた。

「これからは雨の日に走るんじゃねーぞ。」

男の子の頭にぽんと手を置いて喋っている。

「じゃあね、バイバイ!」


男の子が家の中に入ると先輩が口を開いた。


「ありがとう。駅まで一緒に行かない?
いっつも同じ電車だよね?」


びっくりした。私のこと知ってたんだ。
「先輩、私のこと知ってるんですか?」


「そりゃ有名だから。
それにずっと朝の電車で見かけてたしね。
逆に、僕のことはわかる?」

「はい、私も先輩と同じです。
朝の電車でみかけてたし、有名ですから。」