君にしかないもの


莉央先に帰ったし、私も帰ろう。

傘をさして、駅までの道を歩いていると男の子の泣き声がした。

角を曲がると泣く男の子の前にかがんで頭を撫でている人がいたんだ。

後ろ姿でもわかった。
あの双子の先輩。茶髪の方だ。


「よしよし。足痛いよな。大丈夫か?」


優しく語りかけるような先輩の声に少し聞き惚れてしまった。


「俺、絆創膏持ってないんだよな…」


絆創膏!!そう言えばカバンに…
私は急いで探して取り出した。


「これ、使ってください。」