桜時雨の降る頃



わたしの質問に黙り込んで俯いてしまう朔斗。

何も答えてくれない気がした。


わたしはすぅっと息を吸い込んで、胸の奥にしまっていた気持ちを吐き出す。


「一生言わないつもりだったけど、

わたしの初恋、朔斗だよ」


朔斗がピクリと肩を震わせた。


「でも、わたし達がお互い好きって思ってた時間はすれ違ってるんだよね。朔斗は小6?、わたしは中2。どうにもなんないわけだよね」



「……俺たちらしいな。その噛み合わなさっぷり」


ふっと、自嘲的な笑みを浮かべる朔斗が

また哀しげに瞳を揺らした。


「俺は、きっとお前を傷つけるしかできないから」


どうしてそんなことを言うんだろう。

そりゃ毒舌だけど、本気で傷ついたことなんて……


あのキスの時くらいだ。


…………だから?


自分にはわたしを大事にできないって思ってたり、する?


「今更、朔斗に傷つけられたりなんてしないよ。そんなにヤワじゃないの、知ってるでしょ?」