桜時雨の降る頃


陽斗が行った後、何か話すでもなく、わたし達は静かに花火を見上げていた。



すると、おもむろに朔斗が口を開く。


「……あのさ」


「うん?」


話を聞こうと、夜空から朔斗へ目線を移すと

いつになく真剣さを漂わせた表情で、わたしをその瞳に写していた。






「俺たち、限界来てるよな」


「…………!」


ショックだった。

わたし自身、感じていたことだけど

朔斗から言われると急に現実味を帯びてしまって

何が? なんてトボけて訊くことも出来なかった。


「今から話すの、聴いてろよ」


朔斗はそう言って、意を決するようにはぁっと大きく息を吐いてから話し始めた。




「さっき、家で陽斗に言われたんだ。雫に自分の気持ち伝えるって」



「陽斗が……?」


「あぁ。そうしたらもう、俺たちはこうして3人でいるのは無理になるだろうって思った。

ずっとそれを避けてきたけど、限界の時期が来たんだよな。

お前もずっと避けてたんだろ?陽斗もだ」




朔斗は今まで見たこともないような、

哀しい瞳をしていて

ギュッと胸が締め付けられてしまう。