しばらく見惚れていると、それまで一段下に腰掛けていた陽斗が立ち上がった。
「俺、屋台で何か買って来るよ。リクエストある?」
「雫はどうせタコ焼きだろ。俺も行くわ」
朔斗がナゼか勝ち誇ったように鼻で笑いながら立ち上がりかけると、陽斗が手でそれを制した。
「2人同時に行っちゃうと雫が1人になるだろ。酔っぱらいに絡まれたりしたら面倒だから、朔斗は留守番でよろしく」
「え〜、俺も屋台見たいのに」
「俺が戻ったら行きなよ」
「へいへい、分かりました」
どっちが兄だか分からないような2人の会話にププッと吹き出してしまった。
「「何?」」
と、同時に聞き返してきた2人を見て
あったかいものが心に広がる。
「んーん、仲良いなって思っただけ」
わたしがそう言うと、2人は顔を見合わせて何ともいえない複雑そうな表情を浮かべた。
「今更そんなこと言われるのも何か微妙」
「だよな」
陽斗の言葉に同調して頷く朔斗に笑いながら、陽斗が下へ降りていく。
「じゃあ、行ってくる。雫はタコ焼きね」
「あは、うん。ありがと、よろしく」
