桜時雨の降る頃

歩くほどに、人の数が増えてきて

会場近くに着いた頃には、人、人、人で辺りは溢れかえっていた。





「すげー人混み。帰りたくなってきた」


「毎年言ってるな、それ」


「でもちゃんと最後までいるんだよね〜」


「うっせー、いつも人にタコ焼き買わせといて」


こうして3人で出かけるのは、いつぶりだろう。


中学に入ってからどんどん減っていった。


子供の頃みたいに、無邪気に遊べる時はもう、過ぎ去ってしまったんだと痛感する。



「久しぶりだよな、3人で出かけるの」


陽斗も懐かしそうに目を細めている。


「しばらく外野がうるさかったからな」


朔斗も口角を上げてニヤっと笑みを浮かべていた。


「2人ともモテモテになっちゃったからでしょ」


「ひがむな、ひがむな」

けけけ、と自慢げに笑いながら歩いていく朔斗。

む〜っと口を尖らせていると、陽斗が後ろからポン、と背中を押す。


「雫もホントはモテるんだよ」


「え?」


「俺たちが側にいるから、みんな近寄れないだけ」