どこをどう歩いたのか、かなりぼんやり歩を進めていたらしく

気付けばわたしは

あの公園に来ていた。



斎場の近くにあるこの公園には、あれ以来訪れていなかった。


ちょうど桜が満開ではあるけれど、

決して広くはないここには、夜桜見物の人たちはあまりいないようで、犬の散歩をする人がまばらにいるのが街灯をたよりに見えるくらいだった。



真っ暗な夜空にピンク色の花がよく映えていて

ザーっと時折吹く冷たい風に花びらが舞い落ちてく様は美しかったけれど

心はやはりどん底だった。




見たくない桜を見ることで

わたしは自分を痛めつけたかったのかもしれない。




人のいない辺りに立つ桜の木を見つけて


その幹にそっと触れた。