桜時雨の降る頃

わたしが微動だにできないでいると、

朔斗が鍵を持つわたしの手にそっと大きい手を添える。


「……一緒に開けるか?」


ひどく優しい朔斗の声に

涙が出そうになりながら、わたしはうん、と頷いた。


いつからだろう。

朔斗は口が悪いはずなのに

その中にものすごい優しさを感じるようになった。


こんなに大人びていたかな、と首を傾げたくなるほど。


朔斗の手のひらから伝わる温度にホッとして

わたしは鍵穴に鍵を差し込み、回した。


ゴクン、と息を呑みながら

引き出しをおそるおそる開ける。


中は綺麗に整理されており、

目を引くものといえば、黒いファイルのようなものだけ。


わたしと朔斗は目を見合わせて、それを引き出しから取り出した。


この中に何かあるんだろうか?