ふわふわとした心地の中で、わたしは周り一面が桜で彩られた場所にぽつんと座っていた。
『雫、好きだよ』
陽斗の穏やかな笑顔が目の前にある。
あぁ良かった、いるじゃん。
悪い夢を見てたんだ。
「好きだよ、陽斗」
言える時に言っておかなきゃいけないことがあるってわたしは学んだから。
すぐに伝えたかった。
『ごめんな。俺がドジって、雫に怪我させちゃったな』
わたしの腕や足を労わるように撫でてから
そっと頬に手を添えてくる。
『こんなに泣かせたの、俺だよな。
約束も守れなくてごめん』
哀しそうに目尻を下げるのを見て、わたしは慌てて首を横に振った。
『俺ね、雫に言えなかったことがあるんだ』
ゆらゆらと瞳を揺らめかせながら、陽斗はそう言って黙り込んだ。
何だろう?
陽斗はいつも正直で、わたしに隠し事なんてしてなかったと思う。
