桜時雨の降る頃

考えてみれば、俺が雫に誕生日でもないのに
プレゼントめいたことするなんて、今までなかったかもしれない。

そのことに思い至ると急激に照れ臭くなってきて

雫の方を見れなくなった。


「…………ありがと。可愛い」


珍しく素直に礼を述べる雫にビックリして
チラ見したけど、
雫は顔を上げていなかった。

俯いたまま、キーホルダーを大事そうに触っている。


そのまま黙って、ネコの頭部分をキュッと掴んで止まっていた。

…………?


なんでこんな沈黙?

俺の方を一向に見ようとしない態度も気になって声をかけた。



「……雫? どうした?」


雫の態度が変な時は、陽斗に任せるのがいいんだよな、と思い出していたら

妙に優しい声になってしまった気がする。

2人だけの静かな空間が、そうさせたのかもしれない。