桜時雨の降る頃

陽斗や俺の事情なんて、雫は知りっこないことにあぐらをかいて


俺は雫の気持ちが見えてなかった。


雫がどんな思いでこの時、沈黙を貫いてたかも知らずに

俺は土産があったのを思い出して、それを雫の前に差し出した。


「そうだ。コレやるよ」


「え?」

雫は、ぶらんと目の前にぶら下がるキーホルダーを見て目を瞬かせた。


「昼間さ、足延ばして古くて有名な神社に行ってきたんだ。写真撮ろうと思って」


雫が出した掌に、それをコロン、と載せる。


「そしたら、そこ猫が集まるんでも有名みたいでさ。グッズになってたから。お前ネコグッズ好きだったなと思い出して」


あ、ヤベ。

ネコグッズ好きなの知ってたのがバレた。

まぁいいか。


そういや、あの神社の猫の写真うまく撮れてるといいな。

動物を撮るのは難しい。


そんなことを考えていなかったら、
雫の手が僅かに震えてることに気付けたんだろうか。