桜時雨の降る頃


相当な無茶振りをしてると自分でも思った。

雫の顔にもそう書いてある。


まだ驚きが残っているのか、ぎこちない笑みが雫の口元に浮かんでいた。

俺の過去の告白を聞いてどう思ったんだろう。

正直、それは気になったけど訊かなかった。
昔のことをほじくり返しても何の意味もない。


俺は陽斗の背中を押してやりたいから。



「雫には、陽斗みたいな奴が合ってるよ」


「……そうかなぁ」


「なんか不満でも?」


「そんなのないけど」


陽斗と雫が本当にうまくいっちゃえばいい。

そしたら、今まで通り、とまではいかなくたって3人でいることは不自然じゃない。


雫の隣にいるべきは、俺じゃない。