案の定、雫は意味分かんないって顔して俺を睨んできた。
「理解不能?」
「うん」
「じゃあお前、世の中みんな1番好きな奴同士が付き合ってると思う?」
「……そうなんじゃないの?」
「そりゃ嫌いな奴とは付き合わねーよな。
でも、最初から好き度マックス同士で付き合えるなんてナイんじゃねーの。
付き合ってみて好きになることもある、
なんとなく付き合ってみた、そんなカップルのが多いと俺は思うけど」
雫が読んでた少女漫画を陽斗とチラ見したことあるけど、あんなの現実にあり得ん、と思った。
あってもひと握りだろう。
「…………」
夢見がちな女にはショックなんだろうか。
雫は黙り込んでしまった。
「まぁ、俺らは男だから余計そう思うのかもな。
お前がこの考えに合わせる必要はねぇけど、そんなの期待してたら一生彼氏出来ねぇぞ」
言いすぎたかな、と思ってそう付け加えたら
目を釣り上げて雫は怒った。
「余計なお世話!!」
その顔が可笑しくて、つい笑ったら更に口を尖らせてしまった。
そしてふと、聞いてみたかったことを思い出して雫に尋ねた。
「大体、お前の初恋はいつなわけ? 中学入ってからそんな話したことあったけど、あれウソだろ」
「うっさい。 あんたには一生言わない」
