桜時雨の降る頃

デート騒動の夜、俺は陽斗と話したことも
頭にチラついてなかなか寝付けずにいた。


就寝時間を過ぎた後もしばらく、他の奴らと
エロい話とかで盛り上がってたけど

先生たちの見回りによって無理矢理布団に全員押し付けられた結果、
そのうち規則正しい寝息がいくつも聴こえてきた。



目が冴えて眠れる気がしない俺は、仕方なく起き上がり、夜風に当たろうとバルコニーに出ることにした。

バルコニーに出るのは禁止されていたが、この時間だ。誰も見てないだろう。





カラカラ、とガラス戸を開き外に出ると
少し湿気を帯びた風が頬を撫でていく。



手すりにもたれて下を見れば、真っ暗闇の中
ポツポツと灯りが見える。


大都会じゃあるまいし、夜景なんて望めないよなぁ。


そう思いながら、夜空を見上げた。
ど田舎って程でもないココでは星も感動するほどの数じゃない。
おまけに曇りがちで、俺の心もまたモヤモヤし始めてしまった。