桜時雨の降る頃

買ったものの、いつ渡すかな、と考えながら

集合場所へ戻ると

女子の黄色い声が飛んでいる。

うるせぇな、とひと睨みしながら同じ班の奴らを見つけて列に混じった。


「ワリィ、戻った。先生にバレなかったか?」

そう話しかける俺に気付いた奴が、

「おぉ、ぜーんぜん!!意外とチョロいもんだな。でも何か奢れよ〜」

とヘラヘラ笑いながら返事をくれる。


おぉ、と相槌を打ちながらも俺は女子の騒ぎっぷりに辟易して理由を聞いてみた。


「ところで、なんであんなに女子騒いでんの」



「あー。なんか陽斗と二階堂がデートしてるって騒いでる。何人か目撃したって」



「……へー」


デート。

こんだけ目撃されたってことは陽斗のヤツが何も考えずにプライベートどおり雫と接したに違いない。


1年の時の呼び出し事件以来、俺たちは学校では距離を置くようにしていたから。



まぁ今更イジメとかはないだろうけど
やはり一抹の不安を覚える。


しばらく気をつけててやるか。

そう思っていると、更に空気がザワッとして

目線をそちらへ向ける。

見ると、陽斗と雫が戻ってきたとこだった。