桜時雨の降る頃


つーか、俺たち以上の男じゃなきゃダメだ。

って、まるで父親みたいだ。


妙に言い切る俺に安心したのか、そっか、と納得した様子の陽斗。



「でも、もし雫に彼氏とか出来たら俺たち遊んでもらえなくなるな」


陽斗の突然のもしも話に口が真一文字になった。


「俺らも彼女作って一緒に遊ぶとか」


「ヘンだよそれ」


「……だよな。じゃあやっぱり」


邪魔しちゃおう。

口には出さなかったけど、陽斗が珍しくイタズラ顔してたから、多分同じこと思ったはずだ。


まだ3人でいたいから。


恋愛なんてまだまだ俺たちには無縁だと思っていた。



でも、中学へ入ってみんなの視線が変わった。

みんなが俺たち双子に興味を持って、注目を浴びてしまったことも悪い方へ繋がった。

ただの幼馴染で押し通すのが

こんなに周り次第で難しくなるとは思ってもいなかったんだ。