「………」 小学生の頃、怪しい人に話しかけられたら逃げなさいと先生や母親に言われていたことを思い出した。あの頃は自分にはそんなことが起こらないだろうと思っていたけど、今まさしくそのときが来ているのだろうか。 すくっとベンチから立ち上がり、歩き出す。 いくら年が近そうと、見知らぬ人に話しかけるなんて怪しい。 逃げよう。 「あ、ちょっと待って。怪しくないです」 少女が慌てたように僕のTシャツの裾を掴んだ。