僕と女の子は似てる気がする。名前や顔や年齢は分からないけれど、そういったところでなくてもっと、もっと人間の内側的なところが。

この子の事を知りたい。そう思った。










次の詩はまた一週間後に聞こえた。


詩に(僕が勝手に)タイトルを付けるとしたら、「私」だと思った。

その詩は、女の子本人の話のようだった。

世界を、人間を、自分を嫌った女の子は死のうとした。僕と同じに。その女の子は、死ななかった。死ねなかった。

下の階から、拍手が聞こえたから。

僕が拍手をしたから。

その女の子は僕の拍手で死に損なった。生き長らえた。明日を掴んだ。

僕もそうなんだ。僕は女の子の詩が聞こえたから死に損なった。生き長らえた。明日を掴んだ。

そう言いたかった。僕も君のせいで死に損なったんだ!一緒だよ、と。しかし僕が、下の階の誰か、が喋ることはしてはいけないと思った。女の子の何かを崩してしまう気がした。僕はまた拍手をした。精一杯拍手をした。






女の子は問う。また、一週間後も詩を読んで良いかと。僕の返事はひとつだった。

また僕は手と手を合わせて拍手を送った。女の子に心から拍手を送った。

拍手の意味は単なるYESではなかった。

「僕」に生きる意味をください、と言う切実な願いだった。