今日も独り。
最寄り駅から、学校まで独りで歩いていく。

私の周りには、友達と楽しそうに
会話する人たちがたくさんいる。

別にそれを望んでいるわけではないけど、
心にぽっかりと穴が空いたような気持ちに
なる。

そんな気持ちを、なくすように
私は肩にかけた鞄を、
手で、ギュッと握った。

***◇◇◇***
ガラッ

1-3の教室のドアをあける。
仲良くはないけど、なんとなく目が合った
子が私には「おはよう」っと言った。

私は笑顔でそれに答えた。

別に、教室で、はぶられているわけじゃない

お弁当を一緒に食べる子だっているし、
移動教室も友達と行っている。

でも、何故か虚しくなる。

どうして?

そんなことを悶々と考えていたから、
背後からの気配に気が付けなかった。

「花梨、おはよう。」

いきなり後ろから、声をかけられて、
私は心の底から、驚いた。

だって、男子の声だし。
今まで、挨拶にくる男子なんていなかった。

一体誰だろうと思い、振り替えると
いつもこの時間にはいない
柏木 光がいた。

しかも、光の顔が赤いし。

光の顔はカッコいい。
モデル並みにカッコいいし、運動神経も
抜群だから、密かに思いを寄せている女子も多いらしい。

残念なことに、小説で、定番の
ファンクラブがあったり、
めちゃめちゃ告白されてたり
というのはない。

告白されたことは、そりゃああるみたいだが、告白した人はみんな可愛い。
一部の人のみだ。

第一、そこまでカッコ良かったら
芸能界にとっくにスカウトされている。

...まぁ、こんな話はどうでもいいんだけど。

そんなイケメンに喋りかけられたら、
誰だって緊張する。

私は緊張すると、
無表情になってしまう、残念なタイプだ。

だから、いつもより顔の力を落として
自然に笑うように心がけた。

「おはよう」

すると、ますます光の顔は赤くなった。

......。
本当に、残念ながら
私は小説にでてくる
無自覚、天然少女ではない。

自分の顔のかわいさがどれくらいかは、
わかっているし、ここまでくると
感づく。

そして、予想通りの言葉が発せられる。

「あのさ、今日の昼休み......。
 空いてるなら、四階の空き教室に
 来てほしいんだけど。」

光は、顔を真っ赤にして、
でも、私の目をしっかりと捕らえて
言った。

そこまで勇気をだして、言ったのだ。
ここで、断ったら
私は冷徹人間だ。

だから、答えは決まっている。
「うん。いいよ。」
 
***◇◇◇***
そんなわけで、今私は四階の空き教室にいる。

光は先ほど、担任に呼ばれていたので
遅れてくると、口パクで
私に言っていた。

いつも一緒に帰る、
松木 桃 はやたらと感づくスキルが高い。
だから、口パクで