「あーあ、やっぱりフラれちゃったなー……」


 私はさっき、幼なじみの豊(ゆたか)に告白をした。

 この結果は最初からわかっていた。豊には他に好きな人がいるのも知ってたし。

 それでも、実際フラれてしまうと悲しく思えちゃう。

 小さい頃から好きだった豊……

 なんて思うと、涙が更に増す。

 涙、いい加減止めなきゃ……。


「よ、片瀬」

「あ、黒田……」


 豊の次に仲のいい男子。

 恋の相談にものってくれていた。

 だから、私が今日告白したことも知っている。


「その涙を見ると……撃沈か」

「ご名答」

「だから言っただろ? 俺にしておけよって」


 こんな冗談もずーっとしてくる。私を励ますためだと思うけど。


「そんな冗談はもういいって。
 確かに悲しいけど、スッキリもした。これで前に進めそうな気がする」

「……じゃあ俺も冗談はやめて、本気だすから」

「っ! ちょっと、何すっ……」


 頬に、キッ、キスしてきた!


「な? 本気だすって言っただろ?」

「い、いきなり本気出しすぎ!」

「いいじゃん。ほら、そのおかげで涙が引っ込んだわけだし」

「あ……ホントだ。じゃなくて、だ、だからって勝手にそんなっ」

「ま、そういうわけだから、これからもよろしくな。エ・リ」

「ちょ……」


 次の恋は、振り回されそうな予感しかない。



 ―END―