(今度の試合、勝つことが出来たら……

 俺と、つき合って下さい)


 って試合前、マネージャーに二度目の告白をした。

 ベタな恋愛モノみたいな告白だったけど、これで曖昧な関係に区切りをつけたかった。

 マネージャーの気持ちを、一気に振り向かせたかった。

 でさ。こういう告白をした結末って、カッコよく試合に勝って、めでたく両想い……だよな?

 なのに俺は──


「負けた」

「うん……負けたね」


 はい。負けてしまいました。

 試合会場の裏で、マネージャーと並んで座るも……気まずい。

 現実は、物語のように上手くはいかなかったかぁ。


「……ぷはっ!アハハハッ」

「なっ、マネージャー! 何で笑うんすか!?」

「だって、あんな告白をしたのに負けるって! おかしくてカッコ悪ーい!」

「うっ!」


 胸にグサッときた。

 だぁー、クソ! あそこで相手のスリーポイントを阻止出来てたら絶対勝ってたのに!

 最後の最後に油断した俺の完全な実力不足。

 こんなんじゃあマネージャーに

『私への想いって、その程度なの?』

 とか思われても仕方ないことだ。

 はぁあ。片想い続行、決定だな……マジ、ガックシくる。


「じゃあ……もう一回チャンスをあげる」


 と、マネージャーが横でポツリと俺に言った。


「え……チャンス?」

「うん」

「……って、何ですか?」


 何だろう。まさか、来年の都の試合に勝ったら……とか?


「もう一回、告白して?」

「……え?」


 もう一回、告白?


「試合に勝ったら……とか、そういう条件はなしで、普通に」


 え、マジで? それって……

 いや待て。落ち着け俺。

 先走りそうな心を、なんとか抑えた。


「マネージャー。どうしてチャンスをくれるんですか? 俺、負けたのに……」

「うん。試合には負けたけど、中村君は一生懸命だった。私には十分伝わったよ。中村君の気持ち……。
 さっきカッコ悪いって言っちゃったけど……ホントは、すごくカッコよかった」


 うわ。今すぐに抱きしめたい。

 けどまだだ。マネージャーからのチャンスを、クリアしなければいけない。

 俺は一呼吸をしてから、ゆっくりと口を開いた。












「マネージャーのことが……好きです。
 俺と……つき合って下さい」













「はい。
 私も……中村君のことが、好きです」









「っ、よっしゃー! 片想い続行、取り消しー!」

「わっ! ちょっと中村君! 高いってばー!」


 たまらずマネージャーを抱き上げた。

 やっと、やっと手に入れた。

 マネージャーの気持ち。


 俺……絶っ対に大事にしますから!