その後、あたしはこの恥ずかしすぎるあだ名をどうすることもできなかった。


その結果、女子からは葵様や騎士様と呼ばれ、密かにファンクラブも形成されたらしい。











「ほんと、あの時はびっくりしたわー。まさか回し蹴りをするなんてね」


ポッキーを食べ終え、今度はプリッツを開けようとしている七海。


「仕方ないだろう。向こうのパンチを止めるのに両手が塞がってしまったんだから。とっさに足が出たんだ」


「それが普通じゃないのよ、まず」



半ば諦めている顔でツッコまれた。


普通じゃない、かぁ。


まぁ確かに、一般的に人を蹴り飛ばす女なんてそうそういないか。


そんなことを考えながら、紙パックのいちごみるくにストローをさす。



「まぁ、あの時は葵が怪我をしなかったから良かったけど…。もう少し危機感を持ちなさいよ?本気になった男の人には、いくら葵でも勝てない時だってあるんだからね」


「そーそー。ほーんと、危機感を持ってほしいよ。一条には」


「ゴフッ!!」