「すいません、こうたさん。
この後、予約入ってて・・・」
こうたさんの知り合いのバーに入ってから30分くらいしたとき
店員さんが申し訳なさそうにそう告げた。
「あー・・・まじか?そんな時にごめんな、迷惑かけて。」
するとこちらを見て
「ってことらしいから場所移動
もう歩けるだろ?その感じだと」
「はい、大丈夫です。」
すると彼は「お前、本当に重いんだもん、少しはやせろよ」
と言った。
「本当に優しいんだか失礼なんだかわからない人ですね、あなた」
鞄を持ちわたしは外へ出ていく。
「会計いくら?」
「貸切ってる状態だったんで2万3千円で・・・」
?!?!?!?!?
え、あれだけ滞在して?!そんなに?!?
「おっけーじゃあこれで。」
こうたさんはわかりきってたかのように普通の態度で支払いをすまし
わたしの方に歩いてきた。
「お前、この後どうするの?」
「ちょ、お金・・・払います。」
「はぁ?いいわ。これくらい。
そこは大人に甘えておけ。
奈々美ちゃん」
「でも・・・
「10個上のお兄さんが出してあげるって言ってるんだから
素直にありがとうございますでいいんだよ。わかったか」
女はそっちのほうが可愛がられるぞ。と一言付け足すとすたすたと歩いていく。
