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「ほれ、水。沢山飲んで沢山吐け。



って、もう結構吐いてたけど。」




「ご、ご迷惑おかけしました。」




なんであの一瞬だけ記憶ないんだろう・・・。



頭を抱えて考え込む。



「んー・・・記憶が・・・」



「ま、若いときはそんなこともあるだろ。



お前名前は?いくつなん?」



「奈々美・・・。20です・・・。」



すると彼は驚いた顔で「はぁ?!」と二度見してきた。



「いや、それはねーだろ。25くらいじゃねーの?」



「なにそれ、20だし。免許見せましょうか?」



「はぁーまじかよ、おま・・・奈々美と10個も違うんだ。」




俺も老けたんだな・・・なんていいながら彼はグラスに口付けた。



10個上ってことは30歳か。


見えないな・・・。



すらっとしていて身長もそれなりにある。


スーツを着こなして眼鏡をかけている姿は大学生でも通じそうだ。



「おじさん、名前は・・・?」



「あのさ、おじさんじゃねーだろ。俺若く見られんだぜ?


せめて、おにいさんって「おじさん、名前は?」



ちょっとした仕返し。



っち彼は軽く舌打ちすると〝こうた〟と名乗った。



「・・・こうたさん、なんで助けてくれたの?」



すると。彼はふーっと息を吐きだし



「さぁ、なんだろうな。」



とニッと笑った。