彼にじーっと睨まれ渋々携帯を鳴らす。
すると彼の携帯がぶーっぶーっと震えた。
「・・・奈々美、本当に大丈夫なんだな?」
確かに、お風呂には入りたい。
吐きすぎて髪はベタベタ。
口の中も気持ち悪いし何より睡眠を欲していた。
・・・でも、見ず知らずの男の人の家は・・・。
しかも1人だし、やられて捨てられるのがオチ・・・。
「俺は行くから好きにしろ。来るなら着いてこい。すぐそこだから」
そう言うと彼はスタスタ歩きはじめた。
え、ちょと、もう少し考える時間・・・
「ま、待ってよ。
わ、わかった。家お邪魔します・・・」
すると彼はこちらを振り返り左手を差し出してきた。
「まだフラフラしてるから手繋いで行く。おいで」
手を出された時、何故か子供扱いされているようで悔しかった。
わたしはその出された左手を軽くはらうと
「別に歩けます」
なんて可愛げのない返事をした。
彼は無表情で「あっそ」とつげると
ゆっくりしたペースで歩きはじめる。
その後ろをわたしはフラフラしながら歩きはじめた。
