お昼は時間がなくてファーストフードになってしまったので、デートのやり直しでどこかへ連れて行ってくれるらしい。

「俺、地元じゃないからお店はカナコちゃんの方が詳しいかもだけど、、、」

そう言いながら一軒のお店の駐車場へ車を滑らせる。

小さいけど、おしゃれでおいしいイタリアンのお店。

いつだったか、おにいちゃんに連れてきてもらったことのあるお店だった。

「コウヘイに教えてもらったから、カナコちゃんも来た事あるんじゃない?」

入口近くの駐車場に止め、運転席から降りて助手席のドアを開けてくれる。

車から降りるとき、差し出された手。

一瞬どうしていいのかわからなかったけど、素直に自分の手を重ねてみた。

優しく握り返された手。

おにいちゃんと同じで、大きくて温かい手。