お兄ちゃんの友達[完]

「お疲れ様でした」

お店の前に車がとまり、担当者がドアを開けてくれる。

先に河合さんがおり、私は彼に手をひかれながら下りた。

つながれたままの手。

ちらっと担当者を見ると、もうこちらを気にすることなく私たちを店の中に連れて行ってくれる。

河合さんと担当者は書類の話などをしていて、私はただぼーっと横に座る河合さんの手元を見ていた。

「では、必要な書類がそろいましたら、ご連絡いただけますか?」

思ったよりも早く話は終わったらしく、時計を確認すると12時になったところだった。

「ランチする時間無くなっちゃったね。ごめんね、ファーストフードとかでも大丈夫?」

不動産屋を出ておにいちゃんの車へと戻ると、エンジンをかけた河合さんが私の顔をのぞきこんできた。

その仕草にどきどきしてしまう。

もう、おなかがすいているかどうかもわからないよ。

「何でも大丈夫、です」