お兄ちゃんの友達[完]

私のことじゃないのに、なんだか不安になってしまう。

そんな私の顔を見ても、にこりと笑ってそれならいいね!などと意味のわからないことを言いながら、担当者と契約について話を始めてしまった。

なにがいいの?なんだか河合さんよくわからない。。。

「じゃあ、いちどお店に戻って手続きについて具体的に説明しますね」

担当者に促され、車へと向かった。

途中、隣を歩く河合さんの顔を見ると、わくわくした顔で私を見てくる。

「すぐに決めちゃったから、不安?」

不安な気持ちが伝わっていたのか、頭をぽんぽんと叩かれる。

「はい、大丈夫なんですか?」

いろいろと不安はないんだろうか?

私ならきっといつまでたっても決められないかも。

実家を出たことがないし、物件探しなんておにいちゃんですら経験がないことだから、こうしてアパートを見学するのも初めて。

ちょっと楽しかったんだけど、急に決まっちゃってどうしたらいいのか不安になってしまった。

自分が住むわけじゃないのに、それでも一緒に付いてきたんだから。