お兄ちゃんの友達[完]

いくつかある中から二つを出し、あれこれ河合さんに説明をしている。

間取り図を見た限りでは河合さんの希望に近かったらしく、実際に物件を見に行くことになった。

「カナコちゃん、時間はまだ大丈夫だよね?」

物件はここから10分ほどのところにあるらしい。

時計を見ると今は11時15分を過ぎたところなので、まだ大丈夫。

「では、車を表に回しますので、少しお待ちくださいね」

担当者が車で連れて行ってくれるらしく、お店の中で間取り図を見ながら河合さんがたばこを吸っていた。

私も隣で物件の地図を見ながら、なんとなくチェックする。

駅の近くといっても、駅から南側か北側で住宅街が多いのか商店街なのかでかなり違う。

私の家があるのは駅から南側で、駅から少し離れているとはいえ住宅街の中だ。

駅から5分と言われた物件は、私の家からも近い3階建てのアパート。

もう一つの物件は、同じ南側でも私の家から少し離れているけど、11階建てのマンションだった。