お兄ちゃんの友達[完]

「13時からなので、12時45分までに行けば間に合います・・・」

どうしても恥ずかしくて運転している河合さんを見ることができない。

じゃあ、不動産屋へ行ったあと、早めのお昼にしようね~と、赤信号で止まったと同時に視線を感じ、思わず河合さんをみてしまった。

「まだ真っ赤だし、かわいいね」

左手が伸びてきて、私の髪をなでてくれる。

ますます赤くなってしまう私は、もう心臓が爆発寸前。

河合さんのことが好きなのか、単になれない男の人だからなのか、もうわからなくなっていた。

「あはは、困ったなぁ~」

赤くなるだけでまともに会話もできなくなっている私を見て、苦笑いしながらも車は進んでいく。

なれない町のはずなのに、不動産屋へまっすぐついた河合さんは、夕べおにいちゃんにお店の場所を教えてもらったんだよ、と教えてくれた。

お店の駐車場に車を止めて、助手席側へ回りドアを開けてくれた河合さん。

とりあえず、降りなきゃ・・・。

恥ずかしいけど、鞄を持ったまま車を降りようとして、普段なら絶対しないのにうまく降りられずに転びそうになってしまった。

うわ、転ぶ!と思った瞬間、河合さんが抱きかかえてくれて転ばずに済んだ。

けど、思いっきり正面から抱かれている状態に・・・!!!

絶対に心臓のどきどき伝わっているし!どうしよう~!