お兄ちゃんの友達[完]

河合さんに手をひかれながら大好きなおにいちゃんに見送られ、真っ赤なまま家を出る。

いつの間にか河合さんの手にはおにいちゃんの車のかぎが握られていた。

「車借りたから、さあ乗って！」

助手席のドアを開け、私を座らせると自分も運転席に乗り込んでエンジンをかける。

おにいちゃんの運転する車の助手席にはよく乗るけど、ほかの男の人の運転する車の助手席なんて、乗ったことあったかな？

お父さんの運転する車には小さい頃よく乗っていた気がするけど。

「バイト先、駅前のお店って言っていたよね？お昼ごはん食べてから行くの？」

慣れた手つきで車を動かす河合さん。

普段から運転するのかな？

乗り物酔いしやすい私でも、気にならないくらいの安全運転で。

河合さんの人柄が表れているんじゃないだろうか、と思った。